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(5)振動の減少と燃費
E.G.Aや円陣家のエンジンオイルを使うと振動が減少することは理解されたと思うが、E.G.S[LIMITED]を使っても振動が減少するんだ。とリミテッドの項でも話したが、おいらの説明不足で理解出来ない方もいたかもしれないので不足分を補いたいと思う。
単気筒エンジンは除くが、多気筒エンジンに於ける各燃焼室のコンディションって同じではないんだ。
特にコンプレッションはコンプレッションゲージで計った経験がある方なら解ると思うが各シリンダーバラバラだ。
つまり多気筒とは単気筒が幾つかくっ付いたモノと考えればいい。
って言う事で各燃焼室の爆発力は同じではない。これが振動の原因の一つとなる。リミテッドを投入すると各燃焼室のコンプレッションは、ほぼ一定となり不整爆発が起こりにくくなり、これが振動の減少につながるんだ。適度のコンプレッションの高まりは燃焼効率を上げる。
又、燃焼室の密閉度が上がるため、吸入力(吸入時の流速が上がる)が高まるので霧化が促進される。霧化率が高まれば高まるほど、爆発時に使う燃料の量は少量で済む。これらの要素の積み重ねが燃費向上につながる。
燃費とは総合的合理的な要素の積み重ねによって低減出来るので、前述した要素だけで高燃費を達成出来るものではない。
車両の整備、車両の軽量化、動力伝達経路の抵抗の低減、タイヤの空気圧、アクセルワークなどやらなければいけないことは多々ある。
特にアクセルワークは燃費を左右する比率が大きいので、色々なアクセルの開け方を試してみてベストを探ることをお薦めする。
同じバイクや同じ車を違う人が運転したら同じような燃費になるとは限らない。E.G.S[LIMITED]やFORCE-1を使うと、アクセル開度が同じスピードを出すのに車両の種類や走行距離にもよるが、約半分位になる。
結果論だがコンプレッションを上げることで、燃焼効率が上がると燃料が少なくて済むのが解ると思う。
四輪でよく見かけるのがトランクに荷物を満載している人がいる。車のトランクは倉庫じゃないし、この荷物によって車両重量が増えることで燃費が悪くなることを知るべしだ。
こう言う人が燃費を語っていると溜め息が出てしまう。
独り言:何かの才能持っているってぇことは素晴らしいことだと思う。
おいらの知り合いに陶芸家であり画を描く才能を持っている人がいる。定期的に個展を開催するので、作品を何点か購入してる。昔からこれらの才能に敬意を表しているよ。チコさん・・・・・
それから、おいらのところに出入りしている若い連中の中に凄く器用なヤツがいる。最近、おいらも敵わないくらい、器用に拍車がかかってきている。器用さも常に何かやってねぇと衰退していくようだ。
勝ち負けで評価するのは嫌いだが、今おいらが飛行機作ったらヤツに負けるかもしれない・・・・・お手柔らかにタンちゃん・・・・・
(4)カーボンとスラッヂ
カーボンやスラッヂを取るためにフラッシングするが、あまり薦めたくない。
フラッシングオイルの性能が良ければ良いほど前述したように各部に付着しているエンジンオイルまで取ってしまうからだ。
カーボンやスラッヂはカサブタやコレステロールのようなものだから剥がしてやればいいんだ。
ピストンヘッドやシリンダーヘッドの内側のカーボンの発生を排除するのは難しいが、スラッジの発生は阻止することは出来る。スラッジまみれのエンジン内部を綺麗にすることも出来る。
エンジンオイルを交換時期まで酸化させなければいい。
おいらの創った油は、放熱効果によりエンジン温度を低く出来るのでオイルの酸化がしにくい。シール効果から吹き抜けが無いなどスラッヂ発生のプロセスを遮断出来る。発生してしまった(おいらのエンジンオイル使用では発生しない)スラッヂへの対処だが、スラッヂは前述したようにカサブタのようなものだから剥がして取り込むか、ろ過してやればいい。
おいらの創った油を使うことで、剥がすのはおいらの専売特許の毛細管現象を機能させれば、どんなにしつこいスラッヂでも剥がすことが出来る。
剥がれたスラッヂは溶けるものはオイルに取り込み正常化し、塊はオイルフィルターがろ過してくれる。
このエンジン内を綺麗に保ってくれるのは残念ながらエンジンをバラさなければ目視することが出来ない。
この性能が今昔話の
冒頭1.「はじめまして!の項、特にエンジンオイルは永く使うと解るんだ。それは永く使った人しか解らないってぇとこが欠点でもある。だから未だその結果を知る人がいないってぇことだ。摩訶不思議な油だ。その結果はおいらの油を使ってくれたお客さんに対するおいらのお礼だと思って欲しいんだ。」
と言ったことである。勿論、エンジンオイルだけではなくエンジンオイル添加剤E.G.Aを添加することでも恩恵を得ることが出来る。
カーボンは基本的に焼き切るのが理想だが、焼き切るには最高回転近くで走るのがいい。でもそんなことを一般道路でやっていたら免許がいくらあっても足りないし危険だ。時々サーキットを走るのが一番かな・・・・・
独り言:「アニーよ銃をとれ」1957年の3月から9月にかけて現在のTBSで放送された30分西部劇だ。
主役アニー・オークリー(当時アニー・オークレーって言っていた)役の日本語吹き替えは来宮良子、生吹き替えだったと言うから驚きだ。
このアニーは実在の人物で、西部劇のアニー同様射撃の腕や乗馬は天性のものだったらしい。
アニー役を演じたのはゲイル・デイビィスと言う女優だ。1997年頃に亡くなっている。劇中で使用していたアニーの銃はリボルバーなんだが、西部劇では当たり前だったコルト・シングル・アクション・アーミー(コルト45SAA)ではないダブル・アクションの銃だった。
記憶が定かでないので間違っているかもしれないが、ダブル・アクションの西部劇の銃と言えばビリー・ザ・キッドの愛銃44口径のコルト・ライトニングが有名だが、アニーが使っていたのは弾を込めるシリンダーをスイングアウトさせて弾を込めてるシーンがあったのでコルト・ライトニングではないと思う?何だったんだろう。今頃気になってくるとは・・・・・
(3)エンジンオイルを創る
エンジンオイルを商品化することは前述したように決まったが、市販化するために、どのようなモノを提供するかを考えた。
とにかく目標は、お客にどれだけの利益を与えることが出来るか?である。
それと、おいらがE.G.Aで主張して来たものプラスアルファがなければと思った。基本的な考え方はE.G.Aである。
エンジンオイルでおいらがいじれるものと言えばベースオイルである。
市販化を前に先ずベースオイルの試作を行った。おいらが考える試作基準があって、グループ分けをしてグループ順に実際に試作しテストして行くんだ。
夫々のグループで最も良いモノを選び出し、テスター(山本鯨や長尾健吾も含む)からの報告から欠点を排除するべくレシピを調整し更にテストを行う。
E.G.Aプラスアルファは中々難しい。強いて言うなら耐久性が若干上回るのとベースオイルが厳選試作された優れたモノであると言う事かな。
エンジンオイル創りの一番目は放熱、二番目はスラッヂなど発生させない、三番目はシール力、四番目は潤滑である。
これらの能力を存分に発揮出来るよう最終レシピを完成させるんだ。
第一番目に放熱としたのはエンジンの蓄熱は百害あって一利なしで、エンジンの消耗は激しくなるし、エンジンオイル自体の消耗も激しくなり潤滑性能が著しく低下するからだ。
二番目のスラッヂを発生させない、なんて無理だと思っている方がほとんどだと思うが、おいらの創るエンジンオイルは本当にスラッヂを発生させない。途中からおいらの創るエンジンオイルに替えてみればもっと良く解る。使い続けるとスラッヂだらけのエンジン内部が綺麗になってくる。
スラッヂって人間に例えると血管を詰まらせるコレステロールみたいなモノなんで発生させないのが一番だが、除去することも必要なんだ。
エンジン内部を見た人はフラッシングオイルが入ってるんじゃと疑うが、フラッシングオイルの除去性能はそんなに大したことはない。
又、フラッシングオイルは潤滑に必要なオイルまで洗い流してしまうのでお薦め出来ない。
エンジンに悪さをする成分は全く配合しないのがおいらのポリシーだ。大好きなエンジンを傷つけることなんざぁおいらに出来る訳ない。と言う事でフラッシング成分は全く配合していない。
三番目のシール力は爆発圧力を吹き抜けさせない事が主だが、軸受けなどに入り込んだエンジンオイルを作動中封入し最強の潤滑を行うことだ。
四番目の潤滑は一番目から三番目が出来れば完了する項目だ。
独り言:おいらは人との出会いを大切にしている。全ての人ではないが出会った人によっておいらの才能が開花したり強化されるからだ。
人間嫌いのおいらだから出会う人も限られる。今昔話の「その1」を読まれた方は解ってくれると思う・・・・・
(2)エンジンオイル商品化
さてエンジンオイルを商品化した切っ掛けだが、おいらに「創れっか?」って仕掛けたヤツが仲間の分だけでもいいから創って欲しいと懇願されたんだ。
おいらは絶対に二度と創らないと約束の上で創った試作品、それもヤツがおいらに創れないだろうと言ったエンジンオイルだから二度と創らないって言ったが、ヤツは引き下がらなかった。
ヤツに説得され仕方なく月に10L単位で注文くれるなら創ってもいいと言ってしまった。
そして更に条件をつけた。
「東京堂でおいらの創ったオイルを交換してはならない」東京堂で販売してないエンジンオイルを交換だけで、東京堂の工場を使わせてもらうことがモラルに欠けるし、申し訳ないと思うからだ。これを守れるなら創ってやると約束した。
ヤツが直ぐ注文してきた。
何回か注文してきたんだが、或る時、東京堂の若旦那から
「何か凄いエンジンオイルを創ったそうで、東京堂でも販売したい」って言ってきたんだ。
何で知ってるかは直ぐに判明した。ヤツ等が東京堂でおいらの創ったエンジンオイルを交換していたんだ。約束を破ってしまったんだ。
もう後の祭り
東京堂の若旦那には考えさせてくれと一拍置いた。どんなに考えても断る理由が見つからない。
しばらくしてから東京堂に電話をして商品化することを伝えた。記念すべき最初のエンジンエンジンオイルはTCOである。
とにかくよく売れました。他の販売店にも案内し全店で販売開始。使ったお客から賞賛の嵐で、結果的に販売して良かったと思っている。おいらとの約束を破ったのが切っ掛けで東京堂の若旦那からの商品化依頼だったとは・・・・・今思うと何が幸いするか人生ってわからねぇな。
これがエンジンオイルをリリースした経緯であり、E.G.Aが全く売れなくなったと言うオマケ付きだ。
おいらは今でも本当はE.G.Aがあればいいと思っている。
次にリリースしたのがTCOUである。TCOUには面白いエピソードがある。
東京堂での出来事で、TCOUを使っていたお客がエンジンオイル交換時期が来たのだが、小遣いの都合で一般的なエンジンオイルと交換することになった。
東京堂で交換、帰って行ったんだが5分も経たない内に東京堂に戻って来たんだ。東京堂の若旦那に
「さっき抜いたオイルありますか?」
って言ったそうな・・・・・円陣家のオイルを使った人なら理由は解るよね・・・・・
2サイクル用のWOOとGEOをリリースした。
実は円陣家のエンジンオイルは全てオーバークオリティなんだ。だからE.G.Aがあればいいって思っている。んじゃ何でオーバークオリティなんだって言われると、おいらの悪い習性で、ついついコストを無視して良いもんを創りたがるんだ。そしてリリースしてしまったモノのクオリティを落とすことは出来ないんだ。
WOO[R]、GEO[R]、TCOV、TCOWR、SEALSは考えていたが、ある素材を合成することが出来ずリリース出来ずにいた。
独り言:おいらは小さい時から人見知りで対人恐怖症で赤面症。今は少し良くなったが基本的に変わっていない。今でも克服出来ないでいる。一人で何かやってるのが好きだ。そして限界を試したことは無いが、いつまでも一人でいられる。困ったもんだ。