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市販バイクの殆どが湿式多板クラッチ方式を採用しています。
湿式多板クラッチの駆動伝達率は乾式多板クラッチより優れています。それでも90%台後半です。
これを限りなく100%に近づけるには表面張力効果を高めなければなりません。
高めるにはクラッチ板全体にオイルを付着させることです。不思議ですねオイルに浸っているはずのクラッチ板全体にオイルが回っていないなんて・・・・・
クラッチ板は完全にまっ平ではないのです。若干ですが歪んでいます。と言う事はクラッチ板同士が完全密着していないのです。これが伝達率を阻害しています。
今まで、この密着度を高めるために強化スプリングや強化クラッチと銘打った製品が数多くのメーカーからリリースされています。
スプリングを強化すれば密着度は高まりますが、テコ比でも変えない限りクラッチレバーの操作は重たくなります。クラッチレバーが重たいのは長距離ツーリングなど大変疲れます。これらの欠点を排除する方法は色々とあると思います。殆どが物理的な解決です。それでも伝達率はほんの少ししか上がりません。
自然科学を取り入れたらどうか?と考えればどうでしょう。
オイルが入っていかないほどの隙間にオイルを充填するには毛細管現象しかありません。
クラッチ板全てがオイルに浸ることで表面張力が大きく働きます。完全な表面張力のくっ付く力はもの凄く、伝達率を限りなく100%に近づけてくれるのです。スプリングの力は補助的なもので湿式多板クラッチは元々表面張力を利用すべく作られているのです。
今までのエンジンオイルの表面張力効果はクラッチ板全体をオイルで浸せるほどではなかったのです。
クラッチオーバーホールしたことのある方はクラッチ板同士が簡単に剥がせる事を経験されているはずです。
エンジンオイルの表面張力効果を上げるにはエンジンオイル添加剤E.G.Aを添加することで解決できます。
添加するだけでクラッチを強化することができます。クラッチ操作習熟度にもよりますが、クラッチ板の耐久性は想像を超えます。