HOME » 油職人今昔話
昭和当時を思い出したりしていると、今では見なくなった(あまり見なくなった)モノがあることに気付く。
見なくなったモノは凄い量かもしれないので、極一部の気になったモノに限定していることをお断りしておく。
当時、自動車のバッテリーの性能が悪く、エンジンのかかりも悪く、チョークは手動でエンジンをかけるのにコツがいった。
直ぐにバッテリーがあがってしまいバッテリーエンコは当たり前だった。
補助始動の道具として当時の自動車にはクランクレバーが常備されていた。バイクで言うキックレバーに相当するものだ。想像が出来ないかもしれないが、とにかくエンジンの始動にはコツがいる厄介な作業だった。
バッテリー事情も良くなり、エンジンの始動性も良くなったことで現在の自動車にクランクレバーを見ることはない。
発電方式はダイナモと呼ばれる直流発電だったが現在この発電方式は使われていない?
現在はオルターネーターと呼ばれる交流発電だ。
ポイント式点火のポイントは古い四輪や二輪に見ることが出来るくらいで新型車に見ることは無い。
それに呼応して、若い整備士の工具箱にポイントヤスリを見ることも無くなった。
吸入方式が燃料噴射になることでキャブレターが少しずつ消えている。四輪車では高性能の代名詞だったSUやウェバーのキャブレターは見なくなった。
ある日おいらのところに出入りしている四輪整備士から電話がきた。
SUキャブのバランスの取り方が判らないのでアドバイスしてとのことだった。
この若き整備士SUキャブレターの存在は知っていたが、見たこともいじったこともないとのことだった。
実はおいらも彼から電話もらうまでSUやウェバーの存在を忘れていた。
当時おいらはSUやウェバーのキャブ調整は得意で、これらのキャブ搭載車が入庫すると、おいらが指名されたもんだ。
輸入商社に入りたての頃、海外との通信手段は電話とテレックスだった。
ファックスそしてインターネットと移り変わり、テレックスを見ることは無くなった。
テレックスは電話回線を使い、タイプライターのようにアルファベットを打って通信するもので、英文かローマ字限定の通信手段であった。テレックス室は物凄くうるさかった思い出がある。
タイプライター(英文と和文)もワープロの出現により姿を消した。
タイプライターには鉄砲好き、バイク好きにはたまらないレミントンやトライアンフなんてぇモノがあった。
タイプライターのメンテナンス屋も無くなってしまったと思う。
最近(何年か前)切実な悩みとして整髪料の「スコアー」(ライオン株式会社製)が市場から消えてしまったことだ。
高校時代から現在まで使い続けてきたもので、代替品を探しているのだが未だに見つからない。
歯磨きのチューブのようなものに入っていて、グリーンぽい半透明のゼリー状なのに付けるとサラっとしている。髪が乱れても水を付けると整髪力が蘇る優れモノだったのに残念だ。
スコアーが新発売されたとき成分が植物性?と謳っていたので飛びついた記憶がある。
木炭車、トロリーバス、トレーラーバス、蒸気機関車、百貨店のアドバルーン・・・・・
見なくなり忘れ去られたモノの中に、現在の技術で蘇させると優れモノに変身するのがあるかもしれない。